Togetterにこんなまとめがありました。
【静岡県掛川市副市長「掛川市役所では〇〇の使用を今年いっぱいで終了します」→「まだあったの?」「時代が動くぞ…」等の反応集まる】世間ではもう一太郎さんは
鬼籍に入られたようにみなされているようです。
物書きのあいだではまだまだ人気の高いソフトなのですが、たしかにシェアを考えたらWordに流れちゃうよなぁ。
上のまとめに触発されて、これまで小説を書くのに使ってきたソフトのことを何回かにわけて取り上げてみます。
前の記事で述べたように、初めてパソコンを手に入れた高校二年(2001年)のときはWordがバンドルされていたのでなんとなくそれを使って小説を書いていました。
当時のWordはもう縦書きがふつうにできましたが、ルビをふると行間が大きく開いてしまったり動作が重かったり、スクロールして次のページに移るときに
ページ全体が縦に移動していくという動きをするため(一太郎なら横移動)、縦書きをするにはあまり親切な設計ではありませんでした。
それもそのはず、Wordは横書き文化圏の国で開発されたものなため、縦書きやルビといった機能にあまり力を入れていないのです。
現在、自分は最新のWordを持っていないのですが、上記の問題は改善されたのでしょうか。
さすがにルビをつけると行間が開くみたいなことはないとは思いますが、上記のTogetterのコメント欄を見るとWordが使いづらいという声はいまだに多くありますね。
高校生のときはWordに横書きで書いていたわけですが、ほとんど初期設定のまま使っていたのですごく使いづらかったはずです。
横書きで書くならべつにWindowsに標準でついてくるメモ帳でもいいような気がしますが、当時の僕は「
メモ帳で小説を書くなんてトイレットペーパーで折り鶴を作るようなものだ」みたいに完全に馬鹿にしきっておりました。
たぶん「メモ帳」という名前がいけなかったんですね。
きっと「
ライティング・マスター」とか「
ワイアード・ノベル」とか、よくわかんないけどそんなノリの中二病をくすぐる名前だったらきっと使う気になったんじゃないかな。
そのあと高校を卒業して専門学校に入ったあたりからは、パソコンを買い換えてWordが使えなくなったこともあって、フリーウエアやシェアウエアのテキストエディタを使うようになりました。
そのころには小説を書くなら縦書きがいいと理解していたので、
・
O's Editor2・
VerticalEditorといったソフトをよく使っていました。
調べてみたらVerticalEditorの公式サイトが閉鎖されているっぽいですね。
昔はよくサイトの掲示板でソフトの使い方を習ったり不具合とかを報告してたんですが。
当時(2001年~2005年ぐらい)はまだ縦書きのできるテキストエディタは少数だったので、この二つはとてもありがたかった。
高機能で名高い
秀丸エディタでさえも、いまでこそ綺麗な縦書きができますが、当時はできなかった。
使い勝手を較べてみて、最終的にVerticalEditorのほうをよく使うようになりました。
専門学校時代は、自分はミステリをよく読んだり書いたりしていて、
以前の記事でもちょろっとふれた講談社のメフィスト賞に送った二本の長編原稿もこれで書いたはずです。
一太郎を初めて買った時期はちょっと思いだせないのですが、パソコンのなかに残っている過去作を漁ってみると、2005年12月31日付けの「Rellik」という原稿が一太郎で書かれていますので、このころにはもうすでに一太郎を導入していたことになります。
おそらく専門学校を卒業する前後に買ったと思われます。ケーキ屋で働いてたときの初任給かもしれない。それ以来、長らく一太郎をメインに使っています。
ちなみに上記の「Rellik」は、いまはなき「
富士見ヤングミステリー大賞」に応募したものです。
ファンタジー世界のクローズドサークルもので、ミステリというかサスペンスという感じ。タイトルのRellikはKillerを逆読みしたもの。
言語の違うファンタジー世界を扱ってるのに、どうして英単語を逆読みするとかいう意味のわからん言葉遊びをしてるんでしょうね。
なんかクール系の主人公の命を狙って美少女たちが襲いかかってくるとかそんな内容だった気が。……これも一種の落ちもの系?
とりあえず伝奇っぽい感じをだして、かっこいい戦闘シーンとかエッチな感じとかをだしたかったような……たぶん当時ハマってた
月姫とか
アトラク=ナクアみたいなノリがしたかったんじゃないか。
いまもパソコンに原稿が丸々残ってるのですが、
まったく開く勇気がわいてきません。奈須きのこ先生が、2000年代前半にどこかのエロゲー攻略サイトのインタビューに答えられてて(このサイトももう見つからない)、「竹本健治先生や綾辻行人先生や京極夏彦先生などから影響を受けているので、伝奇と新本格ミステリの融合がしたい」という趣旨のことをおっしゃっており、それを見て自分もそんなジャンルを書いてみたいと思っていたような気がします。
ちなみに、伝奇と新本格ミステリの融合、という奈須先生のコンセプトは講談社版「
空の境界」で編集の太田さんによって
新伝綺というジャンル名がつけられます。
空の境界(上) (講談社文庫)2005年11月にスーパーダッシュ小説新人賞向けにBeurre・Noisetteを書いたあと、年末の富士見ヤングミステリー大賞に応募するためにRellikを一ヶ月ていどで書いて送ったのですが、賞のことをすっかり忘れていました。
スーパーダッシュのほうがネット上で選考結果が随時発表されていくので、ずっとそっちに注目してたんですね。
2006年の春にBeurre・Noisetteが佳作受賞となり、9月の出版に向けて原稿を推敲していたら、大賞を受賞された同期デビューのアサウラさんからメールで「もう一つ賞に残ってるんですね」みたいに言われて、なんのことだろうと思ったら富士見ヤングミステリーのほうでもRellikが最終選考に残ってました。
あわててドラゴンマガジンを買ってみたら、たしかに最終選考の五、六本のなかに自分の作品が残ってる。
ふつう、最終選考に残ったら編集部から電話がかかってくると思うのですが、それは一切ありませんでした。
スーパーダッシュの担当さんや編集長に相談し、もしあっちでも受賞したらどうする? 辞退する? いやぁでも賞金欲しいっす、みたいなことを話し合っているうちに、
無事落選しました。
最後までなんの連絡もなかったので、最初から落とすつもりで残されたのかもしれません。
そのあと富士見ヤングミステリー大賞は2007年までの募集で終了、母胎の富士見ミステリー文庫も2009年にレーベルを畳んでしまいました。
俺を落としやがるからだ 貴重なラノベのミステリ枠がなくなってしまい、さびしい限りです。